厚木のえいがかんkikiで「いとみち」やってたんで観てきたぜ。
青森の女子高生がメイドカフェで三味線弾く話。
わたくし、生まれも育ちも青森県。
「いとみち」は、そんな廃都青森県を舞台にした映画で、地元人からも勧められていた。ようやく見ることができたので感想を垂れ流したい。地元人が見てもなかなかのリアル青森だったので、この映画「いとみち」からわかる青森の情報を紹介する。

本物の津軽弁が聞ける。
序盤、高校の授業シーンから始まる。標準語に近い生徒が教科書を読む。そのあと少し訛った生徒が読む。次第に訛りのひどい生徒へとグレードアップしていき、最後は主人公の相馬いとが、別格の訛りを晒す。これは県民が聞いてもヒドいレベルだけど、このくらい訛ってる人は実在する。(さすがに女子高生にはいないと思う)
青森には、訛りのひどい人からほとんど標準語に近い人まで幅広くいる。訛りの度合いは若者も年寄りもさまざまだが、青森の恐ろしいところは、一応はみんな津軽弁を理解しているところにある。よく言えば、二カ国後を話せるようなものだ。一方は標準語でもう一方はガチに訛った津軽弁の対話でも、コミュニケーションが取れていたりする。津軽弁の度合いは99%家庭環境による。親やじじばばが訛ってると子供もそれなりの津軽弁で話すようになる。
いとみちでは、マジモンの津軽弁が使われていたので感動した! 今まで青森を扱った映画のインチキくさい訛りを聞いていると、田舎を馬鹿にされているように感じたものだが、いとみちは完全にネイティブ。むしろこれを標準語圏の人に見せて大丈夫か? と心配になった。字幕スーパーもないのに。
経済状態の正確さ
青森県の経済状況はかなり悪い。平均年収も国内ワースト2位くらいだった気がする。青森で金があるのは石油会社の社長くらいだ。(青森は灯油が売れる)
主人公いとの父親は大学教授だけど、あまり裕福でないところがまたリアル。けど、ルンバを買う金があるようなので、青森では中流から上くらいだと思う。
この映画では、青森の経済状況がかなり正確に描かれている。同級生のお友達が貧しかったり、時給700円でりんご農家のアルバイトさせようとするジジイがいたり。主人公が友達の家にいったとき「寒かったら押し入れに毛布がいっぱいあるから使って」というセリフを聞いて、ああわかる、と思った。青森の家の押し入れは布団でぎっしり埋まっている。ドラえもんですら入る隙間はない。
余談だが、青森県は電車やバスの交通の便が悪く、車がなければ生活ができない。ほとんどの職場はマイカー通勤が必須。アルバイトですら車ないと難しい。なので一人一台のレベルで車持たなきゃ仕事できない。そのため大体の若者は車のローンで借金漬けになる。わたしもそうだった。これ、経費として扱ってもらってもいいような気がする。青森県民は金を稼ぐために車を持ち、その維持費に苦しんでいるのだ。

演技で見せる津軽人のじょっぱり気質
「じょっぱり」とは津軽弁で強情、意地っ張り、という意味。
津軽人は意地を張り出したらなかなか後に引かない。ときに損得を超えて意地を張る。
わたしは都会生活を続けるうちに損得で動くことを学習してしまったゴミ人間だが、田舎の人はいまだにこの強情さを持っている人が多い感じがする。
「いとみち」では、じょっぱりを言葉の説明なしで見事に表現している。主人公が家出しようとしたら、お父さんは止めるどころか逆に自分が出ていくと言い出す。さらにそれを見た祖母は「めんどくせーから二人とも出ていけ」と言う。これがじょっぱりである。見事だ。

青森にメイド喫茶はあるのか?
映画を見ながら気になっていた。
そう言えば、青森にメイドカフェあるんかしら? みたいな。
調べたら、やっぱりなかった。少なくとも検索では引っかからかなった。
この2021年の令和の時代に。メイドカフェがないのだ。映画のほうが進んでいる。
ちなみに青森にも多少のゲイバーはある。オカマバーは極小数だ。
将来的には青森でお店やりたいと思うけど、難しいだろうなあ。

青森の魅力
作品ももちろん面白かったんだけど、映画を見ながら思った。
「やっぱり青森はいいなあ」
何もない田舎町なのに、何度帰っても新しい発見がある。不思議だ。
青森では都会の情報がゆっくりと浸透してくる。メイドカフェもその一つだ。ネットが普及したからと言っても、いざ帰省してみると相変わらず情報量が少ないし、ところどころ非効率的なやり方も目立つ。
都会のように急に変化しない。
都会には競争意識の高い人間がたくさんいるので、我も我もと変化が目まぐるしい。
新しいものが一瞬でオワコンになる。
なんなんだ。この街は。と思う。
青森では、何もかもがゆっくりしている。そのため、新しい物事を受け入れるのにはものすごく時間がかかる。また古いものを捨てることにも、ものすごく時間がかかる。
だからこそ、わたしのような人間が生きていくには難しい場所なんだけど。
「いとみち」を見て、あらためて青森の奥深さを味わえた。



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