こんにちは。トランスジェンダー女性のきょんです。今日はちょっと変わった本の紹介だ。

なんとこの本には、私の睾丸摘出手術の体験談も載ってるぞ。
今年の5月、作者の西川清史さんから取材協力の依頼を受けた。
金玉に関する本を書いているので、私のYoutubeチャンネルで語った睾丸摘出手術の体験談をもとに話を聞かせてほしいとのことだった。
何でそんな本を出そうとしているのかはわからないが、西川さんは私の話を聞きに電車を乗り継いでわざわざ本厚木まで来てくれた。当日は事細かくわたしの玉抜き話をし、西川さんは丁寧にメモを取って帰っていった。
そしてめでたく出版。発売前にわたしの自宅に本が届いた。
二度読んだけど、この本はお世辞抜きで興味深い内容だった。確かに金玉は不思議な存在である。
というわけでこの本の内容について語りたい。この本は生物学、歴史、文学、芸術、あらゆる分野から金玉について真剣に考える。みんなもきっと読みたくなると思う。

どうして金玉はぶらさがっているのか?
金玉はぶつけると痛い。見た目も良くない。あんなもの体の中にあったほうがいいに決まってるのに、わざわざ体の外にぶら下がっていてかなり無防備な状態だ。
最近ワールドカップを見てるけど、サッカー選手も相手チームのフリーキックのとき、股間をガードしながら壁を作っている。ボールが直撃したらめちゃ痛いので自然とそういうポーズになる。
外についていることでいろいろ困る金玉。
金玉が外についている理由は、精子を体温よりやや低い状態に保つため、という冷却説が理由が一番しっくりくるし、私もずっとそうだと思っていた。知り合いの医者も玉袋は車でいうところのラジエーターだと言っていた。その医者はバイクに金玉の皮をつけたら高性能になる。と頭のおかしいことを言っていた。
しかし、この説が正しいわけではないらしい。
なぜなら、別に玉を外にぶらさげなくても体温調整できている哺乳類がいる。ゾウ、アリクイ、クジラ、ナマケモノ、アシカなどがそうで、この動物たちは金玉が体の中にある。外に金玉をぶら下げなくても大丈夫な動物もいたりするので、冷却説は完全に正しいとは限らないのだという。
そのため、いくつかの説があり、たとえばディスプレイ仮説。
これはメスにアピールするためにあえて外についているという説。サバンナモンキーという金玉がやたらかっこいい猿がいることから、この説が唱えられたのだが、この猿が例外的すぎて、他の動物にはまったく当てはまらないので信憑性がない。

ほかにはハンディキャップ理論。あえて外に傷つきやすい臓器を備えることで、オスが「僕は身を守るのが得意」と証明しているとか。金玉が無事なのは、自分が強いというアピールになるというのがこの説なのだが、これも本当かどうかわからない。
ギャロッピング仮説(全力疾走仮説)というものまである。
オックスフォード大学とケンブリッチ大学のボートレースの直後、選手たちの尿に前立腺由来の液体が含まれていたことから唱えられた仮説。急激な運動をすることで前立腺液に影響が出るので、キンタマが圧迫されないように外に配置された。ということだそうだ。
なので、よく動くタイプの哺乳類はキンタマが外についており、あまり激しく動かない哺乳類は体内にキンタマがある。これがギャロッピング仮説なのだが、これが正しいのかはよくわかっていない。
というわけで、キンタマは謎だらけなのである。
わたしの仮説を語ると、人間は進化の途中説。将来的に、生殖が済んだ男性のキンタマはポロっと落ちちゃうんじゃないかな? 枯葉のように枝から自然に落ちていくんだぞ。そうなるとすげえ!
痛みの構造。金玉蹴って殺す刑。
そんな無防備な金玉だが、ぶつけたときのあの痛みは、元所有者のわたしでも例えようがない。この本では悶絶中に起こっていることとして詳しく書かれている。
キンタマには骨もなく、あまりにも無防備にできていることに加えて、非常に多くの侵害受容器が集まっているので、そこに打撃を加えられると、強烈な電気信号が脳に送られる。あまりに打撃が強いとどの部位が痛んでいるのか脳が把握できなくなって全身に痛みが広がるそうだ。ぶつけたときは主に下腹部が痛むのだけど、それ以上になると把握不可能になる。確かにあの痛みは説明のしようがない。

わたしも男性社会にいたので、友達が金玉を痛がるシーンにはよく遭遇していた。金玉をぶつけたときは、うずくまるタイプと飛び跳ねるタイプの二種類がいた。わたしは飛び跳ねる派だった。
江戸時代には牢屋に入れられた囚人を金玉を蹴って殺す「陰嚢蹴りの刑」が実際に行われていたそうである。後手にしばって四つん這いにして後ろから蹴って殺す。これはさすがにひどい。
世界の言語で「金玉」を何という?
そもそもなぜ「金玉」と呼ばれているのだろうか? 先ほど紹介したサバンナモンキーのように輝いてもなければ、別に金色ではない。本書はこのことについても追求している。金玉と呼ばれるようになった経緯は不明らしいが、いくつかの説がある。
生の玉(イキノタマ)がキノタマになり、キンタマになった説。
また緊張する玉とかいて「緊玉」がキビシタマ、これがキンタマになった説。
どれも確実ではないけど、なかなか興味深いお話しだ。
ちなみに海外で金玉にあたる言語はこんな感じである。
フランス… COUILLES (ボールを意味する)
インド… アンドゥワ (卵を意味する)
フィンランド… ムナ (卵を意味する)
マレーシア… テロー (卵を意味する)
チェコ… コウレ (球体を意味する)
ドイツ… アイアー (卵を意味する)
いくつか取り上げてみたけど、本にはもっと書いてある。よくぞここまで調べたものだと感心してしまう。共通するのは「卵」「ボール」という意味で使われる単語が多いことだ。他にもスラングや医学的な用語でいろいろあるらしい。
JOS TADILLA OLISI MUNAT, SE OLISI SETA
(おばさんにキンタマがあったら、そりゃおじさんだ)
フィンランド語である。そりゃありえない、というときのツッコミで使うそうな。
洋画でよく聞く悪口「タマなし野郎!」 各国でいろんなスラングがあるみたいだぞ。
わたしが言われたら本当のことなので、何も言い返せない。
去勢の歴史。宦官とカストラート。
中国では「宦官」という、自らチンコとキンタマをちょんぎることで仕事につく人がいる。
チンコを切るのは、もともとは罪人に対する罰で「宮刑」といって、男にとって最も屈辱的な刑である。
そのなかでチンコを切って生きながらえた人がつく仕事が「宦官」だ。宦官の仕事は主に皇帝の身の回りの世話とされる。チンコがないため皇帝の女に手を出すことができないので信用できるようだ。
宦官制度がいつからはじまったのかは不明だが、この制度が終わったのはなんと1924年。つい100年前まで行われていた。
刑といっても、なかなか大掛かりな作業なので、タダというわけにはいかない。手術料がかかる。現在の日本円で約18万くらいらしい。わたしの玉取り手術が24万だから、ちょい安いのかも。いや、チンコもセットでぶったぎるので格安。
政府公認のチンコをぶったぎる専門の人がいて、彼らが手術を行う。かなり乱暴な方法で行うので、本を読んでるだけでも痛くなってくるが、案外成功率が高いらしい。
宦官制度は中国だけではなく、去勢をする制度は世界のあちこちでおこなわれていた。ヨーロッパでは男性のソプラノ歌手の声変わりを防ぐために幼少期にキンタマを取るカストラートがある。
日本ではそういう去勢に関する史実はなく、文化的に肉体改造がない国は逆にめずらしいらしい。
過去に去勢について語った動画もあるので、こちらもどうぞ。
そしてわたくし「きょん」の体験談
まさか自分が本に出ることになるとは思わなかった。本書の後半でわたしの睾丸摘出手術の体験談が出てくる。著者の西川さんは、手術当日に動画をアップしたことにリアリティを感じたそうだ。私自身も手術するまでにはいろいろな思いを抱いていただけあり、生々しくていい動画を取れたと思っている。
動画の大部分は文字起こししてそのまま本に載っているけど、一部インタビューを受けて話した部分もあるので、興味のある方は是非読んでいただきたい。
ちなみにわたしの玉取り動画は、当日、1週間後、1ヶ月後、半年後、と摘出してからの変化を事細かく語っている。興味のある方はこちらを参考に。
いい本が完成してよかった。この本が売れて、世の中にキンタマについての知識を拡がってくれると嬉しい。



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